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Author:谷中徳兵衛
最近になってなぜか落語を熱心に聞くようになりました。講談、浪曲の世界も勉強中です。長くご無沙汰していた歌舞伎や文楽にも再び通っています。
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02月08日(水)

六代目中村勘九郎襲名披露2月大歌舞伎・夜の部@新橋演舞場(2012年2月4日)

◇御存鈴ヶ森
襲名披露の夜の部は、郷里を出奔して江戸へ向かう途中の若衆侍の白井権八が、人寂しい鈴ヶ森で追い剥ぎと化した無頼の雲助たちを、ばったばったと斬りまくるご存じ「鈴ヶ森」。もとは鶴屋南北作の「浮世柄比翼稲妻」という長いお芝居の一幕だそうですが、今日ではこの場と「鞘当」が上演されるくらいでしょうか。権八に中村勘三郎、「お若えの、お待ちなせえ」と駕籠の中から権八を呼び止める幡随院長兵衛に中村吉右衛門という顔合わせ。
勘三郎は昼夜通しても、この白井権八がもっとも大きな役。まだ体調が万全ならずということなのでしょうか。襲名する勘九郎の父親としては、ちょっと残念な思いかもわかりません。
ちなみに白井権八とは実在の人物で、のちに鈴ヶ森で刑死することになった因縁からこの芝居が書かれたのでしょうが、実際には幡随院長兵衛は、権八が生まれる前に水野十郎左衛門に斬殺されており、その経緯は黙阿弥の「極付・幡随院長兵衛」というお芝居で、よく知られるとおりです。

◇口上
やはり今月の興業の大方の見物のお目当ては、この口上でしょうか。勘三郎、勘九郎親子を真ん中に、吉右衛門、仁左衛門の両御大が脇を固める中、中村屋ゆかりの役者さんたちが勢ぞろいです。
落語の口上と違い、歌舞伎では襲名の本人も最後にあいさつしますが、新勘九郎はこの人らしいといえばらしいのか、手堅くきまじめなあいさつ。
勘九郎の叔父、中村橋之助が去年亡くなった父、芝翫のかつらをつけて「父が生きていたら孫の襲名をどんなに喜んだでしょう」とあいさつしたのが泣かせました。弟の七之助以外には勘九郎と同世代の役者が列座しないのがちょっとさびしい気もします。

◇春興鏡獅子
本襲名興行の大本命ともいうべき演目がこの「鏡獅子」。私には相変わらず舞踊のことはわかりませんが、九代目団十郎から六代目菊五郎というかつての大看板に受け継がれてきたというこの踊りが、歌舞伎の中ではひときわ重要な位置を占めている舞踊であることはわかります。
小姓弥生、後に獅子の精を演じるのは、もちろん新勘九郎丈です。

◇ぢいさんばあさん
二年前、歌舞伎座のさよなら興業で観た仁左衛門、玉三郎の気品あふれる「ぢいさんばあさん」の記憶があまりにも鮮明だったので、正直なところあまり期待はしていなかったのですが、うれしい大誤算のすばらしい舞台になりました。
坂東三津五郎の美濃部伊織が老人になったところも説得力十分でしたが、なによりも中村福助の老女となった妻きくの演技がすばらしく、とても初役とは思えぬ見事な老け役の演技。失礼ながら最近は女形としてはやや容色の衰えつつあるかに思えるときも・・の福助丈ですが、芸境の充実ぶりはめざましいものがあるのは、本ブログでもたびたび伝えしている通りです。
ただ、この伊織、るんの夫婦は新婚早々の若夫婦が37年ぶりの再会を果たしたという設定。であれば、二人ともせいぜいまだ60代のはず。おふたりのメーキャップはちょっと老けすぎで80を超えたような老け方。もう少し若く見せるか、37年という歳月をもう十年ほど先の設定にしたほうがいいように思いました。

 

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